人とどう関わっていくか、
という姿勢。
それが生き方の基本。

ビジネスアドバイザー
株式会社サンビレッジ 取締役副社長
株式会社プールプラネット 代表取締役社長(兼務)

苑田 裕司

中央大学経済学部卒業後、東証一部上場の機器メーカーに入社。広報宣伝部門に配属され、コーポレートマーケティングやイベント企画、広報、経営企画などを担当。その後、Apple Japanに転職し、得意とするマーケティングコミュニケーションからセールス部門へ転身する事にチャンレンジ。セールスプランニング、チャネルプランニング、コンシューマーセールス部門など歴任。その後、携帯事業商社へ転職し、法人営業、量販営業、ショップ経営部門の責任者を歴任。その経験と手腕を発揮すべく株式会社サンビレッジへ取締役副社長として入社。また、人材開発支援業務を行う子会社の株式会社プールプラネットの代表取締役社長を兼務。現在に至る。
外資系、国内企業に関わらず、人材を活用し、ビジネスを創造、拡大することを専門とし、顧客企業の販売やセールス全般のプロモーションをサポートする。

Apple社で学んだマネジメント:一番大事なことは人を作ること

今の苑田さんを形作っている、コアとなるエピソードを教えてください。

大学卒業して、歴史ある日本の上場企業に入社したのですが、会社に何かを提案する際、課長、部長、事業部長、、、と通すために時間も手間もかかり、合理的じゃないなと感じていました。
このままのレールでは成長がないと思っていたとき、Apple社の出した広告、製品に衝撃を受けて、「こんな最先端で素晴らしい製品を作っている会社に行きたい!」と転職を決意しました。

もともとApple社では、マーケティングを専門としていましたが、当時の社長から「これからの企業が求める人材は、専門職でなくゼネラリストの時代が来るぞ。マーケティングを知っているセールスは将来すごく有利になるだろう」と言われ、経験の全く無かったセールス職にチャレンジすることになりました。
そこで、突然120人もの部下を持つ事になるのです。 職種も変わった上に、大勢の部下を持つことになり、マネジメントの”あるべき姿”も知らなかった私は、できるだろうか?と不安に思いました。しかし同時に「こんなチャンスはAppleでしか出来ない。面白そうだからチャレンジしよう」と、ビジネス書を読み漁り、いろいろ勉強しました。
最終的にマネジメントがどうあるべきかを学んだのは、当時の社長からでした。「マネージャーの仕事とは、自分のチームメンバーの能力を常に100%以上を発揮させて目標を達成させること。指示するのではなく、部下の能力を信じて、任せることだ。」と言われ、何かを指示することが仕事だと思っていた私はショックを受けました。「部下に仕事をどんどん任せて、マネージャーは常に新しい仕事をしろ。常に違う仕事を探して開拓しろ。」と言われました。そこから仕事に対する意識がガラリと変わりましたね。そうするためにどうするか?を一生懸命自分形に考えて取り組みました。

一言だけでいいから返す〜心が通うことがビジネスの基本〜

具体的にはどのようにマネジメントしていたのですか?

マネジメントをする視点でとても勉強になったこと、それは、「200人近くの部下がいる時に、自分をどう位置付けるか」ということでした。
ある時、社長から「部下から出されるレポートを全部見ているか?」と聞かれて、「すみません。一部しか見ていません」と正直に答えました。すると「どんな思いで部下達は、君にレポートしていると思う?ちゃんと見ている上司がいる安心感が大事なんだ。一言でいいから返事しろ。『了解しました』とか『ご苦労さん』とかそれだけでいいんだ。

部下の気持ちで考えろ。じゃないと何百人も同時にマネジメントできないぞ。でも、それだけで、部下は救われるんだ。」と諭されたのです。確かに、社長はどんな時間にメールを打っても、この様に返信してくれましたし、部下として「見てくれている」という安心感がありました。一言の返信で、部下にとって「苑田さんは見てるし、返信もらっている」ということが安心感・信頼感につながります。確かに、お客さんの視点でものを考えたら、当然、ノーレスなんてありえません。部下からの提案やレポートも同様でした。

一番大事なことは、どれだけ部下に任せられるかどうか。関わりがなくて、信用がなければ、任せられないんですよ。だからこそ「一言だけでいいから返す」、これが多くの部下と関わりを持つ上ですごく大事なのだと学びました。以来、このことを徹底して行ってきています。

ボーイスカウトで学んだ生き方:停滞期を越えるところに成長がある

子供の頃、ボーイスカウトに所属されていたそうですね。その頃の体験は今のビジネスに影響はありますか?

ビジネスでも何でも、真剣にやっていると停滞期・挫折が必ずあります。そこを越えないと成長はありません。また、逃げると、また同じ壁がやって来ますので、とにかく克服する事。やめたい時に踏ん張れるかどうか。頑張れる人は成長できると思います。
これは、ボーイスカウトの精神と似ています。

ボーイスカウトの教えの本で、「自分のカヌーは自分で漕げ」という序文から始まります。進む方向へ背を向けているボートではなくカヌーです。

カヌーは前を向いているので、自分で危険や危機を事前にコントロールできるもの。これからあなたは、人生の行き先で、さまざまな障害にあう。荒れ狂う川の中を掻い潜って、最後の目的地に到達点に立てた人が成功者だと。そうすると人間的に成長し、夢の未来が待っていますよ、という考え方です。
実際にボーイスカウトの演習では、過酷な冬山のキャンプや夜中に睡魔と闘いながらの登山、食料を持たないでキャンプするとか、途中やめたい、どうしてこんな苦しい事しているんだろう。家に帰りたいと思うことがよくあります。しかし、そこでやめることなく耐え抜く。自分との戦いにおいて、達成感や仲間意識、精神が鍛えられました。そして、停滞を我慢することが人間的にも精神的にも成長する、ということを学びました。
このことがビジネスにも直結しています。辛い時って、誰でも必ず来るんですよ。売り上げ上がらないことやトラブルに巻き込まれるなど。その時に、「今は辛いけど、これを越えたら成長するんだな」といつも思い、停滞を乗り越えてきたと思います。それは、ボーイスカウトの経験があったからです。ラッキーでした。

そうした精神が、Apple販売店プログラムを立ち上げて100万台、200万台、400万台と販売した実績を生み出しているのですね。

なんのために働くのか世界が変わった。 自分が偉くなりたい、ではなく、周りをハッピーにするために働く

Apple社の後も商社、企業経営と、キャリアを重ねていらっしゃいますよね。

Apple社の後、商社を経て、現在は、サンビレッジの経営を行なっています。経営者の立場になって、仕事に対する意識づけが大きく変わりました。それまでは仕事は人に負けたくない、自分が偉くなりたい、お金が欲しいという思いでやっていましたが、経営者になって、従業員や派遣スタッフの幸せを考えるようになったのです。一緒にいる人、一番忘れてはいけないお客様やパートナーさんをハッピーにしていかないと会社は成功しませんから。そこに気持ちを切り替えたときに、仕事に対する意識づけが大きく変わりました。

人とどう関わっていくか、という姿勢が生き方の基本にあるのを感じます。

やりたいことはやる。全て自分の”生き方”がある

苑田さんは、お仕事だけではなく、農園、モーターバイク、ワイン、ヨガ、ランニング、ラジオ体操・・・など、プライベートでも充実されていますね。

そうですね。月並みですが、「どういう人生を送れば、終焉を迎える時に、自分の人生は最高だったか」を考えて生きています。やりたい事を全てやったと思いたい。そのつもりでリストにいろいろやりたい事を書き出してみると、どんどん出てくるんです。あ、これやっておかないと人生後悔するということに気づき、それを実行するように心がけています。

そして、新しい分野に挑戦していると、プライベートのネットワークの人たちにもまた、仕事上でお役に立てることにも繋がっていくことも実感しています。

「人」との関わりのみならず、ご自分の「人生」との関わりも大切にされていますね。「やりたいことをやる。」仕事にも趣味にも、全ての生き方の苑田ismがあるのを感じました。ありがとうございました。

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